
【はじめてのweb広告】第4回 web広告用語集「CPMとは」
第4回は「CPM」についての解説です。第1回のCPCと同様、今回のCPMもweb広告を代表する「広告単価」の指標です。用途も広く、様々な場面で登場します。この機会に是非、違いや使われ方を含めて親しんでもらえたらと思います!
CPMとはなにか
Cost Per Mille(広告1,000回表示あたりの単価)
計算式①
revenue(広告売上)/impressions(広告表示回数)*1,000
例①
¥100,000(広告売上)/1,000,000回(広告表示回数)*1000=¥100(CPM)
圧倒的に使われる計算式だと思います。
1,000回表示あたりの、という1,000回を最後に掛け算するので、イメージもしやすいのではないでしょうか。
計算式②
revenue(広告売上)*impressions(広告表示回数)/1,000
例②
¥100,000(広告売上)*1,000,000回(広告表示回数)/1000=¥100(CPM)
解説
CPMは、ある意味最もweb広告で使われている単位になります。
表示された回数あたりに課金する(請求される)という、どの立場であっても分かりやすく、納得感もある指標だからです。
webメディアでは、下記のような会話がしばしば繰り広げられます。
「スマートフォンサイトの記事下枠のCPMが150円になった!」
「先月のSSPのA社のCPMは55円だったよ」
「フロアプライスを100円で引くと、殆どフィルしないな...」
一つずつ見ていきましょう。
「スマートフォンサイトの記事下枠のCPMが150円になった!」
これは広告枠の価値を評価をするためにCPMを使用している例です。
「revenue(売上)」「CPC(クリック単価)」ではだめなのか?というご意見もありますが、あまりお薦めはできません。
revenueの場合は、impressions(またはPV)も大きなウェイトを占めます。単純に表示回数(または来訪者)が多ければ、どんなに安い広告が配信されていたとしてもrevenueの絶対額としては増えてしまうからです。
CPCの場合は、CTR(クリック率)も大きなウェイトを占めます。どんなに1クリックが高単価な広告案件だったとしても、だれにもクリックされなければ意味がありません。極論「CPCが100万円、Revenueは0円」ということもあり得るためです。詳しくは第2回:CPCをご確認ください。
ではCPMはどうでしょうか。CPMの場合、仮にimpressions(あるいはPV)が増えた場合でも、CPMが向上していれば「増えたimpressionsを含めて高く売れた」と言えます。表示回数に課金しているため、増えたimpressionsの価値が低い、となればImpressions増はそのままCPM減に繋がります(Revenue絶対値としては増えていますのでバランスが大事です)。
アフィリエイトでCPAを流したり、タイアップ広告の誘導に使用したりする場合にはeCPMを用いるべきですがここでは割愛します。
「先月のSSPのA社のCPMは55円だったよ」
これはSSPという広告配信事業者そのものをCPMで評価している例です。もちろん相手がアドネットワークでも構いません。
SSPに送った広告リクエスト(と、返ってきたimpressions)がもたらすrevenueが、そのままそのSSPの評価になります。
このときrevenue単体で評価するのではなく、CPMに換算して見たほうが良いのは「スマートフォンの記事下枠」と同じです。
webメディアは広告配信事業者をどう評価すべきか?については、改めてまとめてみたいと思います。revenue、CPMだけでは有りません。
「フロアプライス100円だと殆どフィルしないな...」
この場合はCPM100円というフロアプライス設定そのものの妥当性に対しての評価であると同時に、そのSSPが「フロアプライス100円」という設定に対してどれだけの、つまりいくらのrevenueを返せるのか?という評価でもあります。
あるSSPに対するフロアプライス設定変更が何をもたらすのか、fill rate、revenueの上下は追いかけ続ける(評価し続ける)必要があります。
同じフロアプライス設定でも、fill rateはSSPによって、あるいは時期によって天地の開きがあります。こちらについてはSSPについて改めて説明したいと思います。
※fill rate:広告在庫に対して、広告が出稿されている割合を示す指標
広告主から見たCPM
CPMが高いメディアや枠を買う(出稿する)ことで、より「質の高いユーザー」に自社の商品情報を届けることができる、と考えることができます。
質にはいろいろな意味がありますが、一般には「自分たち(広告主)の商品に価値を感じてくれる人(買ってくれる人含む)」と言えます。
その人達にアピールしたいために競合他社よりもCPMを引き上げて、広告枠やメディアを買うのです。もちろん広告主(媒体者にとっても)、「その人達」が誰なのかは異なります。
媒体社から見たCPM
プログラマティック広告が全盛である今、CPMを広告の評価基準にすることはとても自然です。もしCPCやrevenueで広告枠の価値を判断していた場合、それをCPMで見直すだけで大きく変わります。
タイアップも含めた純広告が大きな収入源である媒体社も多いと思います。この時も、単なる1案件のrevenueで評価するのではなく、その純広告なりタイアップへの誘導が、CPMで換算したらいくらか?は一度計算しても面白いと思います。
プラットフォーマー(プログラマティック)から見たCPM
プラットフォーマーにとっては、CPMは呼吸にも等しい指標です。
100ms(1000分の100秒=0.1秒)以下の一瞬で取引が成立する世界では、CPMの1件1件の取引の膨大な積み重ねが、プラットフォーマーとしてのrevenueを支えています。
指標はもちろんこれだけでは有りませんが、CPMという約束を通じてプラットフォーマーの経済の大部分は成り立っています。
内部だけでなく、広告主側、webメディア側、そして同業他社からの評価としても。
最後に
「eCPM」「vCPM」「RPM」など類義語も複数ありますが、それらはいずれまとめて紹介したいと思います。
CPMはとてもとても便利な指標です。仕事中に出てくる事例はまだまだありますが、計算式は変わりません。たくさんの広告枠、配信事業者、純広告などのキャンペーン、それらを比較することを通じて、万が一にも悪質な事業者と不利な取引をしないよう願っています。